2024年01月20日
なぜ、『耐震等級3』が必要なのか?
こんにちは、まつだ工務店の松田です。
令和6年能登半島地震。震災発生から約3週間が経過しましたが、ボランティアの受け入れ態勢も整わない中、道路の復旧に義援物資の支援と、被災者の救済・被災地の復旧に今も多くの方々が尽力されています。
私たちには手を差し伸べるすべもありませんが、今後に向け、建築関係者としてできることはあると考えています。
それは、『耐震等級3』の重要性を広く知ってもらえるよう、啓発していくこと。
そして、『耐震等級3』の家をより多くの方々に選んでもらうこと。
建築基準法の耐震基準は『耐震等級1』で満たすことができるため、今も『耐震等級1』の家を建てている住宅会社は少なくありません。
しかし、今回のような震災が起こるたびに「耐震等級1では不足である」ことが明らかになっています。
勘違いしてはいけないのが、『耐震等級1』は“倒壊しない”のではなく、“避難時間を稼ぐ”ための強度であるということ。
震度6とか7の地震でも一度は持ちこたえるかもしれませんが、仮に倒壊しなかったとしても躯体(構造部)の損傷はかなり大きくなるため、そのまま住み続けることはできません。
“繰り返す揺れ”による被害は2016年に起きた熊本地震でも大きく注目を浴びましたが、今回の能登半島地震でも震度5に近い揺れが15回以上もあったといいます。
地震は、一度揺れて終わりではありません。
被災地の悲惨な状況、避難所での苦しい生活。一刻も早く、自宅へ戻りたいという切実な願い。
しかし、肝心の家が倒壊してしまっては、戻れる場所もありません。避難所での生活がいつまで続くのかもわかりません。
一方、『耐震等級3』の建物は、『耐震等級1』の1.5倍の強度を有しています。
具体的にどこまでの揺れに耐えられるのかという明確なデータはありませんが、大きな被害を生んだ熊本地震にも『耐震等級3』の家は耐えたといいます。
有事の際には防災拠点となる警察署や消防署の耐震基準が『耐震等級3』であると聞けば、より安心感は増すのではないでしょうか?
自宅が避難場所になる。それが、『耐震等級3』の家なのです。
ただし、地震による被害の有無や大小は、建物の耐震性がすべてではありません。今回の能登半島地震では、液状化現象による甚大な被害がありました。
立地というのはとても大切です。家を建てる場所によっては、津波や土砂崩れの被害も免れないでしょう。
だから、まずはきちんと敷地の状況を知ることです。ハザードマップを見たり、土地の履歴を調べたりするだけでも、ある程度のリスクはわかります。
また、新築時には地盤調査が必須ですが、地盤改良に関しては法的な義務付けはされていません。
不安な場合は「地盤がどんな状態で、どんな工事が必要なのか」、住宅会社にきちんと説明を求めましょう。
自然災害は、いつ自分の身に降りかかってくるかわかりません。
明日は我が身と心得て、まずは自分たちで身を守る方法を考えていくことが大切ですね。
最後になりましたが、今回の能登半島地震でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。